<院長の音楽コラム>ピリオド演奏って何?②

ところで、このチケットを買った理由は前回書いたように「どうしても聴きたかった演奏家の公演に行きたいから」でしたが、
クルレンツィス指揮  ムジカ・エテルナ
(オーケストラの名前です)のコンサートだったのです。
またややこしい名前で恐縮ですが、例えるなら
カラヤン : ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
クルレンツィス : ムジカ・エテルナ
ということになります。
つまり、指揮者がクルレンツィスオーケストラがムジカ・エテルナということです。

さて、前回の冒頭に書きましたHIP(歴史的情報に基づく解釈)について話が戻ります。
1980年前後からこの動きが始まりました。
オーケストラの楽器は古楽器を使用し、楽譜の読み方も異なってきます。
モーツァルトやベートーヴェンの時代の楽器は現代のものとは異なっています。例えばバイオリンの弦も現代のものはスチールですが、当時のものはガット弦というものを使用していましたし、ティンパニーも小さくそれを打つスティックも小さく硬いものでした。
当時はオーケストラも演奏するホールも小さかったので古楽器でも良かったのですが、現代のホールは巨大化したためにオーケストラも大きくなり、弦もスチールに変わり、管楽器も大きな音が出るように改良され、ティンパニーもド迫力を生み出すために大きくなったのです。

音符の読み方も変わってきました。


有名なのは、ベートーヴェンの交響曲全曲に「ベーレンライター版」というのが現れて、ベートーヴェンの響きも一変してテンポもぐっと早くなりました。
1980年頃、この演奏を聴いた人々は一様に「これはおかしい!」と散々酷評しました。
あまりに早すぎて落ち着いて聴いていられない、ひどい人たちになると「ベートーヴェンがテンポの指示を間違えたのだ」とか、反対に擁護する人は「ベートーヴェンは気が短かったので早く演奏する方が正しい」など本人に会ったかのような言い方をする人も現れました。


ベートーヴェンといえば、ピアノの開発者としても有名です

彼の時代の少し前モーツァルトの時代にはまだピアノという楽器が日の目を見ず、チェンバロやクアヴィコードを使用していました。(ただしウィーンに出てからはピアノを使用していたといいます)  ベートーヴェンの32曲のピアノソナタの初期のものは、これらの楽器を使っていた可能性もありますが、同時にウィーン式のピアノを使用したり、エラールのピアノ(イギリス)・シマトライヒャー(ウィーン)を使い分けていたことから、現代のピアノのように安定した性能が得られなかったことも事実なのです。

昔のピアノは現在でも演奏可能で、CD等で聴くことが出来ますが、現代のピアノの音に慣れている私たちからすると、何か異様な音とさえ感じてしまいます。